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呼吸療法認定士としての思い
12月 22nd, 2008 by keititti

私の呼吸ケアのスキルが認められて、
自分が人々に注目されてくると同時に葛藤がでてきました。

大学院へ進学したのは以下の理由が挙げられます。

  • 今以上に働きやすく呼吸ケアを実践できるため

これには、集中ケア認定看護師の養成学校に合格しながらも理由があって
通学することが出来なかったことから、CNSとしてクリティカルケアナースに

なろうと考えました。ところがデータを取っているときに思うような対象数が得られなく結果が出せない、中途半端な結果に満足できなくなってしまいました。

そのため、もう少し症例を増やして頑張りたいと思い博士後期に進学したこと、

より研究をしたいために教員になることにしました。

今も臨床へ戻りたいとおもいつつ調査でベンチレータ装着の患者に会えるのは楽しいです。

  • 研究手法を身につけ呼吸ケアのエビデンスを増やしたい
  • 肺を膨らませ楽な呼吸を提供したい

私の進学した理由であり、ずっと変わらないコンセプトです。

さて、呼吸療法認定士になった経緯は書いたのですが呼吸療法認定士になってからどうだったのかといいますと、いろいろ事情があり、最初にいた救急系ICUのあとに、再就職をしました。

再就職先の基準は、呼吸療法認定士の資格を活かしせられることでした。
「呼吸療法認定士であることを活かして働きたい。しかし、自分も勉強中なので勉強していきたい」と言って再就職しました。

最初は呼吸療法認定士になっても何も動けないでいました。

それは何をやったらいいのかも、わかりませんでした。

まだ世間は皮膚創傷認定看護師や感染認定看護師の活動が認められ始めたものの、まだまだ、地方の田舎では特に私のいたところでは、全領域を合わせて3人という認定看護師の数さえも少ない状況でした。
手探りの状態で、仕事を確立するためには何を学ばなければいけないのかも
わからない状態でした。

いろいろな講習会やセミナーに行けるだけ行ってみました。年間の費用にしたら10万は軽く越えました。
北は 北海道から南は大分まで、呼吸ケアに関連があるものは学会を含めて毎年出かけました。

呼吸療法のホームページを開催し、全国の呼吸療法認定士や呼吸ケアを行っている人たちとネットを介してON/OFFを問わず交流し、ディスカッションしていったところ、呼吸器ケアに熱いコメディカルらのつながりとがんばっている姿に勇気づけられました。

インターネットの掲示板で、臨床経験を丁寧に事例として振り返りを行っていきました。
そしたら、何が足りないのかが見えてきました。患者を看られるように、そして診断と治療と看護のバランスを考えることができるようになってきました。
しかし、それはたいへんなプレッシャーとなりました。

その当時は「こんな田舎の病院でも呼吸療法認定士は一人しかいない。私はこの病院の第一人者なのだ。」

と変に力も入っていたのですが、頑張らなくてはいけない。と必至でした。

いろいろな方から相談を受けるようになりました。
いずれも手の施しようがないのではないか?と思えるほどの事例ばかりでした。
その多くは、臨床のスタッフナースや医師がよかれと思って行ったケアや治療がマイナスに働いているのを何とかしてくい止められないかというものでした。

前に働いていた病院の皮膚創傷認定看護師が
「うちの病院には、これがないからこの場合は無理ね」と言ったとき、
相談したナースは
「じゃあなたに相談する価値ないね」と思ったそうです。
友人からその話を聞き、
「私はそうはなりたくない。」と思いました。
その思い今も忘れていません。

病院で相談されたことは、すぐ答えるようにしようと努力しました。

自分がアセスメントした結果はすべてお話しし、その後2・3日以内にはA41枚から3枚ぐらいにまとめて文書を渡していました。(今読んでもよくわからない文章を書いていたなと反省しきりです。)
さらに根拠と参考になる資料や文献も添付していました。

一つ一つの事例を丁寧に振り返った結果は
単に私の自己満足で終わってしまうのではなく、後輩を育て、

一人、また一人と協力者を増やしていけたことだと思います。

非公式ながらも数例コンサルトした中では

たった1例だけが自分が関わっている期間中に転帰が良かっただけで

残りはほとんど惨敗でした。もともとエビデンスがあまり無い領域であり、経験則のケアが多く、また死亡率も高いため、一時的に良くなっても 転帰は悪くなることが多いので仕方がないと言えばそうなのですが。。。

私がアセスメントする事が本当に正しいのかどうか
不安で仕方がなかった時期もあります。
相談されるだけで、医師とディスカッションするだけでも
とてもストレスでした。

新しい手法、ベンチレータのモードに対する熱いバトルもありました。

相手を納得させるための理論武装も学びました。すぐに熱くなってしまって、目的とすることが通らないことも多々ありました。

医師を納得させるには医師が納得できる文献を用意しなければなりません。
そのためには日本にはほとんどはいってきていない
呼吸管理の治療の基本やガイドラインなど英語を読まなければなりません。

英語は得意でないので、それが目的で英語の先生について学びました。

いつも気に掛けてくれていた何人かの医師がいて

論文の検索の仕方を教えてくれたり、自分の研究で図書館に行ったついでに私のために論文をコピーしてくれたりしてくれました。

「おまえ!アブストラクトばっかりよんどったらいかんぞ!」

聞かれて調べた文献を取り寄せることができず

PubMEDで検索したアブストラクトをコピーしてわたし、叱られたこともありました。

「これはこの間の学会では否定されていたよ。これは古い文献だ!」

「古い文献かもしれない。でもこれ以上丁寧に書いてある文献はそうそう見つからないし

レジデントが読むレベルであれば十分に基礎的なことが書いてあると思うわ。ARDSネットワークの内容をそのまま日本語訳にしているものはまだ無いわ。」

チームで働く仕事において、これでもかと言わんばかりに叩かれることもあり、つらい時期もありました。

ココで呼吸療法認定士の仕事を将来も続けていきたいのなら、失敗は許されない。
結果を出さなくてはいけない。研究もやらなくてはいけない。

「後は任せるよ」何人かの医師に言われたとき
動けない自分を目の当たりにしました。

私の勤務中は血液ガスの値が良い、FiO2を上げなくても良い。なぜ?
責任に対するストレスに対応できるほどの、知識がなく、
知識のなさに不安を感じずにはいられませんでした。
何度も何度も本を読みました。未だにわからないところもあります。

本に載っているアセスメントをするデータはたくさんあります。
その中で簡便に使えて、周りのスタッフにわかりやすいものはなんだろうか。
そのデータを活用できるには臨床の限られた時間とマンパワーではほど遠い状況です。
本のようなデータを全部そろえることは動いている現場においては、不可能なことが多いのです。本当に使えるデータ指標って何だろう?と考えました。

簡単な呼吸筋力をはかる方法を説明する以前に
深呼吸を上手に指導することも、深呼吸の生理学的な意義がわかっていませんでした。

ベンチレータの設定がわからない以前にベンチレータそのものをナースや医師にベンチレーターをくわえて吸ってもらうことから始めなければ何もわからないことがわかりました。

「呼吸の生理」を書いている有名な著者ウエストは
「換気力学ほど難しいものはない。だから・・・」というように、換気力学の説明を他の類似する教科書とは違い、本の真ん中に換気力学の解説を持ってきている。
医師もナースも、そして自分の基礎教育も振り返って考えると
換気力学を基礎知識として、応用できる形で学んできていないことを知りました。

呼吸療法認定士としてスタッフのナースの傾向をみたときには、
目先のケアに進みがちです。
スクウィージングや吸引を頻回に行うよりも、大切なことがたくさんあります。

たとえば、

本当にそのケアは必要ですか?エビデンスを元にみるとそのケアが有効でないばかりか、やらないことにより他に有用な時間を捻出できませんか?ということもありました。

丁寧にアセスメントを行い患者に何が起こっているのか?
何が生じてくると予測されるのか?基本的なことですが
それこそが大事で、業務やルティーンワークで本来すべき呼吸ケアと
あまり効果がないと思われるケアを振り分けることさえも
出来ていないのではないかと思いました。

呼吸療法認定士として大事なことは何だろうかというと

呼吸療法認定士として必要なスキルを患者に還元し、周りのスタッフへ啓蒙できることではないだろうかと考えています。

呼吸ケアに関連する人は多くても
呼吸ケアを専門に行っている人は医師を始め少ないということ
ケアの格差を埋めるべく患者指導以前に医療者への啓蒙が必要だと考えています。

ご存じでしたか?アメリカでは パルモナリストという呼吸器専門医が集中治療管理をしています。

日本では集中治療室が作られた背景から 麻酔科から分化し、麻酔科から集中治療を担う医師らが存在します。

そして日本では呼吸器科医師は、現在足りないと言われている麻酔科医師よりも少ないのです。

また、ほとんどが救急系集中治療室で内科系や呼吸専門の集中治療室はとても少ないのです。

世界死亡原因の第4位が慢性閉塞性肺疾患COPD、日本でも男性は 第7位です。禁煙の取り組みが遅れたため

今後、喫煙者の高齢化とともにCOPD患者が増えることが予想されています。

呼吸療法認定士は、アメリカの呼吸療法士(Respiratory Therapist RT)を模倣して作られたかもしれません。

私は、発足を考えてきた医療者の多くが現在の医師不足やコメディカルの状況を予測し、呼吸器のスペシャリストが必要になることを考え試行錯誤で作成された資格だと思っています。

呼吸療法認定士制度が他の認定資格よりも簡単にとれてしまうなどシステム的には問題が多く残されていますが

やはり、待っている患者がいる以上私たちが力をつけ、エビデンスとなるものを作っていくべきではないかとおもうのです。

呼吸療法認定士として身につけた知識を自己満足で終わらせず
是非還元するために使ってほしいと思います。
呼吸ケアサポートチーム(RST)がないところでも、あなたが行うケアが光れば
自ずと人はついてくるものだと思います。 いっしょに頑張っていきませんか?


One Response  
  • ようこ writes:
    11月 8th, 2009 at 5:51 AM

    ブログを読ませていただき感銘しました。

    私は呼吸療法認定士を取得したものの院内の呼吸サポートチームに所属して活動していました。
    現在、大学院に進み研究テーマは 「呼吸療法認定士の活動と人材支援について」ですが、なかなか困難を極めています。
    他院へのアンケート調査をイメージしていましたが、院内の学習会に変えようかどうしようかといったところです。


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